BIOSCIENCE

アデノ随伴ウイルス(AAV)受託調製

COVID-19に対するワクチンにも応用され、核酸医薬・遺伝子治療に注目が集まっています。これまで、アデノウイルス・レトロウイルス・レンチウイルス・センダイウイルスなどが、細胞や個体への遺伝子導入に利用されてきましたが、P2レベルの封じ込めが必要であり、個体では発がん性など安全面での懸念も指摘されていました。AAVは、P1レベルの封じ込めでの実施が可能であることや、その安全性の高さが特徴であり、in vivoでの有用な遺伝子導入ウイルスツールの一種として、近年多くの論文報告がなされています。

AAVは複数の血清型を持ち、それぞれ細胞や組織に対して異なる感染指向性を持ちます。標的臓器に応じて血清型を使い分けることで、ある程度ウイルスの感染をコントロールすることができます。AAV1、AAV2、AAV5、AAV6を標準で用意しておりますが、AAV3、AAV4も別途対応させていただけます。

目的の遺伝子を発現させるためのプロモーターとして、CAG、CMV、EF-1、hSyn1を用意しております。異なる強度での組織非特異的な遺伝子発現や、神経細胞特異的な遺伝子発現などの使い分けが可能で、ある程度目的タンパクの発現をコントロールすることができます。上記以外のプロモーターも別途対応可能ですのでご相談ください。
どのような臓器にAAVを感染させ、どのような発現をさせるのかによって、血清型とプロモーターの組み合わせを選ぶことができます。

感染後のAAVは、基本的には染色体に組み込まれずにエピソームとして存在します。 感染後の遺伝子発現には時間が必要で、1週間程度で発現が観察できますが、活発に増殖分裂する細胞では感染し取り込まれたAAVが分配され、細胞当たりのAAV量が少なくなり発現が確認しづらくなります。 ほぼ分裂増殖することのない、マウス胎児脳の初代神経培養細胞を用いて感染・発現を観察しました。AAV6の脳細胞への感染性と、hSyn1プロモーターの神経細胞特異的な発現が観察できました。
AAVの納品時には、その感染や発現の観察用に、マウス胎児脳の初代神経培養細胞の凍結バイアルと感染確認に必要な培地セットを無償でお付けさせていただきます。