KAC MAGAZINE

病理マガジン【第15回】~膠原線維、弾性線維の染め分け~

試験事例

今回は、膠原線維と弾性線維を染め分ける特殊染色についてご紹介いたします。

膠原線維と弾性線維はどちらも結合組織を構成する線維です。
膠原線維は主にコラーゲンから構成され、弾性線維は主にエラスチンから構成されています。

膠原線維、弾性線維を染め分ける特殊染色は、多くの臓器における線維化などの病変や腫瘍の侵襲などの病態把握に用いられています。
染色方法の種類も様々であり、今回はマッソン・トリクローム染色(MT染色)、エラスチカ・ワンギーソン染色(EVG染色)、エラスチカ・マッソン染色(E.MT染色)をご紹介します。

MT染色は膠原線維の染色を目的としており、腎臓では糸球体や尿細管基底膜の染め分けが可能です。
基底膜は青、尿細管上皮は赤に染まり、コントラストが良いため線維化病変の画像解析に適しています。
EVG染色は弾性線維と膠原線維の染色を目的としており、動脈壁の構成物質の染め分けが可能です。
この染色は主にパラフィン標本で実施されますが、弊社では樹脂包埋研磨標本(例:ステント留置血管など)でも実施することが可能です。
E.MT染色はEVG染色と同様の目的で用いられます。
EVG染色では膠原線維は赤で染色されますが、E.MT染色では緑に染色され、弾性線維はどちらも黒紫に染色されます。
ピクリン酸を使用するEVG染色は標本の長期保存に適しませんが、E.MT染色は長期保存が可能です。

参考文献
水口國雄ら. 月間 Medical Technology 別冊 最新 染色法のすべて. 医歯薬出版株式会社. 2011. P11-17

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