KAC MAGAZINE

病理マガジン【第12回】~リンパ球の染色:CD45R~

試験事例

リンパ球は白血球の中でも比較的小型で、楕円形~そら豆型の核を持ち、細胞質が乏しい、という特徴を持ちます。
リンパ球はB細胞とT細胞に大別されますが、形態から判別することは難しく、細胞表面抗原である「CD抗原」を用いた解析が広く行われています。

ほとんどのB細胞は骨髄で骨髄芽球から分化し、二次リンパ器官で成熟した後、最終的には血液中を循環します。
染色マーカーとしてCD45RやIgM、CD19、CD79aなどが知られ、これらの発現はB細胞の成熟度合いや動物種によって変化します。
マウスとヒトの各種免疫系細胞の染色マーカーについては、抗体メーカー等のWebサイトに掲載されています。他の動物種で染色する場合は、その抗原が目的の細胞種で発現しているか調査が必要です。

今回は、CD45Rについて取り上げます。
CD45RはCD45のアイソフォームの1つで、220kDaのものをいい、マウスのB細胞で発現することから、B220とも呼ばれています。
この抗原はマウスにおいてB細胞の成熟過程の、B前駆細胞~成熟B細胞まで全期間にわたって発現し、マウスの汎B細胞のマーカーとして広く知られています。
※ヒトでは特定のサブセットでのみ発現するため、汎B細胞マーカーとはなりません。

◆染色像
マウス脾臓 CD45R(B220)               マウス脾臓 CD45R(B220)/CD3/DAPI
      

<参考文献>
1)Scott J. Rodig et al., The CD45 isoform B220 identifies select subsets of human B cells and B-cell lymphoproliferative disorders, Human Pathology, Vol. 36(1) :51-57, 2005
2)竹内勤, CD45分子と免疫応答, Jpn. J. Clin. Immun, 15(1) :1~12, 1992

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