中枢神経系における神経膠細胞から、オリゴデンドロサイト（希突起膠細胞）の染色についてご紹介いたします。

オリゴデンドロサイトは白質の髄鞘形成細胞としてよく知られていますが、全てのオリゴデンドロサイトが髄鞘を形成するわけではなく、灰白質では髄鞘を形成せず衛星オリゴデンドロサイトと呼ばれ、ニューロンの活動制御などの機能を担うと考えられています。

オリゴデンドロサイトのマーカーとしてはMBP（Myelin basic protein）, SOX10（SRY-box transcription factor 10）, OSP（Oligodendrocyte specific protein）, MOG（Myelin oligodendrocyte glycoprotein） などが知られています。

なかでも、MBPは髄鞘の主要な構成要素の１つで、髄鞘形成細胞のマーカーとして利用できます。そのため、髄鞘を形成しない衛星オリゴデンドロサイトでは発現しないとされています。
脱髄が起こっている部位でMBPの発現が低下することから脱髄病変の評価に利用されます。

◆染色像
ラット脳　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ラット脳
MBP　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　NeuN（Neuronal nuclei）／MBP
　　　

参考文献
１）日本獣医病理学専門家協会, 動物病理学各論第2版, 文英堂出版
２）Arne Battefeld, et al., Myelinating satellite oligodendrocytes are integrated in a glial syncytium constraining neuronal high-frequency activity, Nature Communications volume7 :11298, 2016
３）Sara Szuchet, et al., The genetic signature of perineuronal oligodendrocytes reveals their unique phenotype, Eur J Neurosci. 34(12):1906–1922, 2011
４）Shenfeld A. and Galkin A., Role of the MBP protein in myelin formation and degradation in the brain. Bio. Comm. 67(2):127–138, 2022
５）Jian-Ning Ye, et al., Progesterone Alleviates Neural Behavioral Deficits and Demyelination with Reduced Degeneration of Oligodendroglial Cells in Cuprizone-Induced Mice, plusone 8(1):1-9, 2013

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