KAC MAGAZINE

病理マガジン【第9回】~神経膠細胞の染色~ミクログリア

試験事例

中枢神経系における神経膠細胞から、ミクログリア(小膠細胞)の染色についてご紹介いたします。

ミクログリアは棘状の分岐性突起を持つ、アストロサイト(星状膠細胞)より小型のグリア細胞です。
炎症や変性がおこると活性化し、分裂増殖することから、脳組織における免疫担当細胞と考えられています。
ミクログリアの病理変化像としては桿状細胞、グリア結節、格子細胞、神経食現象などが知られています。
中枢神経系での炎症評価にはIba-やCD11bなどが多く用いられます。
その際に、ミクログリアの増数・活性化と炎症性マクロファージの浸潤を区別したい時には、ミクログリア特異的なTMEM119や、白血球で発現するCD45との重染色を用いる方法があります。
他にも、静止型ミクログリアで発現するもの(F4/80)、活性型ミクログリアで発現が強くなるもの(CD68)など多様なマーカーがあり、観察目的に合わせた選択が大切です。

弊社では、Iba-1F4/80TMEM119など各種マーカーでのミクログリア染色を実施しております。

【参考文献】
1)日本獣医病理学専門家協会, 動物病理学各論第2版, 文英堂出版
2)Aurelie Joly-Amado et al., CCL2 Overexpression in the Brain Promotes Glial Activation and Accelerates Tau Pathology in a Mouse Model of Tauopathy, Front. Immunol. 11:997, 2020
3)Pedram Honarpisheh, et al., Potential caveats of putative microglia-specific markers for assessment of age-related cerebrovascular neuroinflammation, Journal of Neuroinflammation volume 17, Article number:366, 2020
4)Anita R Patel, et al., Microglia and ischemic stroke: a double-edged sword, Int J Physiol Pathophysiol Pharmacol. 5(2):73–90, 2013
5)Jurga AM, et al., Overview of general and discriminating markers of differential microglia phenotypes, Front. Cell. Neurosci. 14:198, 2020

◆染色像
ラット脳                       マウス脳
ニューロン(NeuN)/ミクログリア(Iba-1)/核(DAPI)      ミクログリア(F4/80)/核(ヘマトキシリン)
   

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