KAC MAGAZINE

病理マガジン【第3回】~切片の厚さとGFAP染色観察像~

試験事例

今月は組織切片の厚みと観察像についてご紹介いたします。

病理組織標本は大きな3次元の組織を、平面(2次元)にスライスして観察しています。
そのため、標本上での見えている像はあくまで1断面に過ぎないことを念頭に置くことが重要です。


星状膠細胞(アストロサイト)を例に検証してみたいと思います。アストロサイトは突起を伸ばした星状の形態から、突起の一部のみが切片上に観察されることが多くあります。
しかし、刺激に反応してその分岐を増すため、細胞形態は評価に際して重要な指標の1つになります(右図)。

 

図出典 : Fokion Spanos, et al., An Overview of Astrocyte
Responses in Genetically Induced Alzheimer’s Disease
Mouse Models, Cells 2020, 9(11), 2415

 

そこで、染色切片の厚みによってどの程度、観察できる細胞の形態に変化があるか、
マウスの脳を2µm厚と5µm厚に薄切し、染色像を比較してみました。

結果は、やはり厚く薄切する方が、「星状」にしっかりと突起が観察されました。
厚く薄切を行うと、その分広がった突起が切片上に多く乗るため
平面だけでなく奥行き方向の広がりもより反映した像が得られています。

一方で、厚みのある分、全面に焦点を合わせることが難しく、一部がぼやけた像になってしまいます。

マウス脳GFAP染色像【共に海馬(アンモン角)にて撮影】

2µm厚切片(左)

5µm厚切片(右)

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