KAC MAGAZINE

個性に合わせた指導とは? 第二弾:利き手、手の大きさ 編

コラム

「 個性に合わせた指導とは? 」第一弾として、前回は、「 一人になりたい?付いていて欲しい? 」をテーマに、「 今は一人で試行錯誤させて欲しい。 」という時間と、「 今は付き添って欲しい。 」という時間のバランスは受講生それぞれで異なるということ、更に言えば、求める上記バランスが言動や表情に表れる受講生もいれば、微妙なシグナルをこちらがキャッチしてくれるのを待っている受講生もおり、受講生が求めるこのバランスを敏感に察する能力は講師にとって非常に重要であるというお話をさせていただきました。

今回の第二弾は「 利き手、手の大きさ 」をテーマにしてみたいと思います。前回と比べるとかなり具体的かつ物理的なアングルからのお話になりますが、よろしければお付き合いください。

私事で恐縮ですが、私は右利きであり、手は小さい方( 身長148cmに相応した手の大きさをイメージください )だと思います。研修を受講しに来られる方々には当たり前ながら右利きの方も左利きの方もいらっしゃいますし、手の大きさも多様性に富んでいます。指導する側とされる側で利き手や手の大きさが異なった場合、どのようなことが起こるのでしょうか?指導する立場が留意すべきこと、できることは何なのでしょうか?

まず利き手が異なる場合、できることなら相手の利き手に合わせてあげたいですよね。普段と逆の手で動物を保定する、普段と逆の手でシリンジや剪刀を扱うというのは難易度が高いことではありますが、指導者たるもの、自分とは利き手が逆の方を教える機会を普段から想定し、どちらの手でもデモンストレーションが見せられるように心がけるべきなのかもしれません( 私も逆手ではできない手技が多々あり、己を棚に上げるようで申し訳ございません )。

次に手の大きさです。例えば「 〇指と△指の2本で■■部分の皮膚を引っ張ってきて… 」と伝えたところ、なかなかスムーズに実践できない。実はそれは、手の小さな方に合致する方法であり、手の大きな方にとっては〇指1本の方がやりやすい方法だった。例えば「 片手で尾根部を摘まんだまま、もう片方の手で体全体をフワッと包みます… 」と言ったところやはりスムーズに実践できない。実はそれも手の小さな方に合致する方法であり、手の大きな方には尾根部を摘まんでいる自分の指が邪魔になるので、尾根部ではなく尾の真ん中付近を摘まむのがやりやすい方法だった。というようなことがあります。

指導される側が手技習得に苦労している、このような事例においては指導者が、「 もしかしたら手の大きさが合っていないのかもしれない。 」「 違う方法にした方がいいかもしれない。 」という軌道修正の必要性があるかもしれないことに気を付けなければいけないですよね。

以上、「 個性に合わせた指導とは?第二弾:利き手、手の大きさ 編 」でした。