KAC MAGAZINE

腰痛を防ぐために

コラム

急性腰痛症、要するにぎっくり腰のことですね。海外では「魔女の一撃」と言われているそうです。筆者もこの経験者ですが、初めてこの言葉を聞いたときには言い得て妙だと感心しました。誰もが経験したいものではないでしょうが、珍しくないケガといえます。仕事の最中ですと労災にもなります。急性腰痛症でなくとも、慢性的に腰痛を抱えている方は多いのではないでしょうか。腰痛を防止したり悪化させないためには腰への負荷を減らせばよいのですが、全くゼロにすることは難しい事です。ストレッチや適度な運動、作業の合間には小休憩を入れるなどが対策といわれています。

対策はそれだけではなく、腰サポートベルト等の器具を使用することも効果的です。この頃は、アシストスーツやパワードスーツと呼ばれる機器を新聞やテレビなどのメディアで目にすることがあります。身体の負荷を軽減するということで、物流、介護医療、製造、建築、農業など、採用されている業種は多岐にわたります。

これら機器は、モーター搭載と非搭載に分類することができます。おそらく、メディアで紹介されるほとんどはモーター搭載のパワー増幅タイプで、着るロボットあるいは電動アシスト自転車といった具合の機器で、少ない力で重たいものを持つことができます。一方、モーター非搭載のタイプはモーター搭載とコンセプトが異なり、パワーアップはしません。動作姿勢を整えることで腰に負荷が集中することを防ぐもので、矯正器具に近いものです。また、立ち姿勢が安定するため、長時間の立ち仕事が楽になり、ホテルマンなど制服の下に着用される例もあるそうです。

筆者は数種類のデモ機を取り寄せ試着してみました。動物実験施設での使用を想定すると、モーター非搭載が向いていると考えました。モーター搭載機器は高価で、飼育区域への持ち込みが難しい面(消毒対応など)がありますが、モーター非搭載は安価で洗濯や消毒がしやすく、動物区域用の衣類の下に着用することができる機器が多くあります。

さらに現在、弊社の一部事業場においてモーター非搭載のアシストスーツをテスト中で、腰に不安のある従業員から好評を得ています。さらにデータを収集し、お客様への新たな提案品として検討を進めて参ろうと考えます。

技術推進部 技術サービスグループ 谷口 佳史