KAC MAGAZINE

実は難しい!腹腔内投与

コラム

 動物実験手技として欠かせない投与。一口に投与と言ってもその方法はいろいろです。口から飲ませるの?血管に入れるの?皮膚の下に入れるの?筋肉に入れるの?等々。今回注目したいのが腹腔内投与です。「腹腔?」という方、すいません、文字数制限に引っかかってしまいますので、ここでは、「腹腔=腹膜に囲まれた空間」というシンプルな説明でご容赦ください。今回、腹腔内投与を取り上げさせていただいた理由はズバリ「簡単!と油断しがちだが実は難しい」これです。
 ゾンデ(棒状の投与器具)やカテーテルチューブ(チューブ状の投与器具)を胃まで挿入する経口投与の場合、食道への挿入そのものが難しい(挿入に難儀する理由は様々ですけど。保定※があまいとか、上顎に沿わすことができていないとか…)。一方で腹腔内投与の場合、注射針が刺せない…という躓きはまずないので、「あっさり習得できたなぁ」と思いがちです。ところが、本当に腹腔内に投与できているのか?これは目視確認できないんです。正確に投与できているかどうかを即、かつ目視で判断できないってタチが悪いと言えます。「効くはずの麻酔がなぜか効かない?」「上がるはずの薬物血中濃度がなぜか上がらない?」ここでやっと手技に疑念を抱けるわけです。腹腔内には胃や腸をはじめ様々な臓器や脂肪があります。血管だって走っています。つまりリスクは満載!当研修所でも腹腔内投与のご相談を受けることは少なくありませんが、結局、保定、消毒、注射針の選択、穿刺※※位置の見極め、穿刺、注入前確認 等々、これら全ての精度を追及することで目視確認できない不安を補っていく…これに尽きます。
 ということで、今回は「実は難しい!腹腔内投与」と銘打ってコラムを書かせていただきました。「今まさに困っている!」という方はご遠慮なく教育研修サービスにお問い合わせください。

※ 保定:正確な投与をするために動物を一定の体位に保つこと
※※穿刺:注射針を刺すこと